▪︎寝息も吐息も

彼が夕べここに着いたのは23時近かった。

私も21時過ぎまでサロンワークがあり、

終わってから買い出しに行く。

風呂を沸かし

野菜を切り、肉を切り、

枝豆を茹で、

ビアグラスとワイングラスをテーブルにセッティングした頃にちょうど

彼は風呂から上がってくる。

ワインボトルが空く頃には日をまたぎ

彼の瞼は閉じそうになり、

ベッドへ移るとすぐにいつもの。

ー私の大好きなー

ー安堵の象徴のー

彼の寝息が私を満たす。

薄暗がりで見つめるその寝顔の。

なんと

なんと

愛おしいことだろうと思う。

これまで、こんな感情に

ー眠る姿がただ愛おしい、とかー

ーその寝顔から目が離せない、とかー

そんな類の感情に

してくれた男はいただろうか、などと思う。

いただろうか?と思い。

そしてその、訊く前にもう、答えの知れたquestionに

自問しておきながら私は笑ってしまう。

明け方目覚め、

彼はいつものように

夥しい数のキスをくれるんだけれども。

数えたことはないんだけれども。

その、一つ一つのキスはいつも

とても丁寧で、

とても真摯で、

そして一つ一つが本当に甘く優しくて。

そしてまた私は

微睡みながら思う。

こんなキスをこれまでくれた男は、、、と。

そしてまたその自問に笑ってしまう。

彼が最後に

囁くような

吐息混じりに吐く声が好き。

極みに到達する瞬間の余裕の無い、荒い息が好き。

寝息も吐息も何もかも

君を象るすべてを愛している。

#大人の恋#恋愛小説#最後の最愛#君の何もかもを