▪︎いのち短かし

彼は早起きをし、

ベッドで野獣のように私を襲い、

そしていつものイタリアンな朝食を平らげ。

食後の珈琲で二人は他愛の無い談笑を交わし。

それから私は、膝枕で彼の耳掃除をしてやり。

そしてまた彼は午睡する。

これはいつも度々に思ってきたことだが、

若い男は本当によく寝る。

歴代の年下彼氏たちも、本当によく眠っていたなと。

リビングで微睡む彼の寝息に包まれ

至福の中でぼんやりと過ごしながら

回想する、腑抜けのわたし。

背の高い人。

183センチの長身を健やかに伸ばして。

すべての力を抜き、

静かに息を吐きながら眠る。

わたしは、ブログの記事やSNSの予約投稿などをしながら

時々手を休めて

彼の寝姿を見つめたり

彼の寝息に耳を傾けたりしている。

こんなにも穏やかなこのー

言葉にし尽くせぬ緩やかで穏やかで

かけがえのない刻が。

本当に、

本当に、

このまま止まってしまったらいいのに、とー

叶わぬことを切に願ったりしている。

そうしてまたわたしはー結局ー

少し切なくなってしまう。

GW、共に過ごせなかった二人の余白のすべてを彼は

ー金曜の夜からここを訪ね、

土日月と二人で同じ時間と空間を共にすることでー

埋めてくれようとする。

彼の手中にすっぽりと収まり、

埋め尽くされた私はまた

身動きができなくなる。

このー

息苦しいくらいの安堵と。

どうしても背中合わせにくっついてくる

幾らかの切なさとを。

合い携えて私は。

彼との時間に埋もれるだろう。

彼に埋め尽くされ、

彼と埋もれる、

初夏みたいな春の休日。

こんな日が来るなどと

予想もせずに生きていても。

こんなにも幸福な昼下がりは巡る。

だから。

だから。

恋はやめられない。

いのち短し恋せよ乙女。

いのち短し恋せよ同志。

ここに集ってくださるすべての方に。

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