▪︎薔薇が咲いた
日曜20時、自宅に帰る彼の車を見送った。
二人で過ごしたリビングは
ー魔法が解けた後のようにー
わたし一人のいつものリビングに戻り。
彼がいなくなると途端に
こんなに広かったかしら、と思え、
本当に彼はここにいたのだったかしら、と思え、
ただ、下腹部に鈍く残っている、何度も愛し合ったその甘い余韻と、
彼が着ていた室内着から立ち上る彼の男の体臭と、
彼の吸った電子タバコの残り香。
今しがたまで、
彼が確かにここにいたもの達を、
一つ一つと確かめるようにして私はー
彼と埋もれていた時間をもう一度辿ってみたりして
そして安堵した。
すこし。
土曜はドライブがてら彼の買い物に付き合い、
日曜はどこへも行かずにひっそりと
二人は寄り添って過ごした。
何も足りないものはなく。
何も引くものもなく。
すべては心地よく満ちていた。
彼の温かな体温。
始終どこか触れ合いながら、私たちは共に在った。
夕暮れてきたので
寝室のロールスクリーンを下げに行った。
「日曜が夕暮れてくると、急に寂しくなる。」と私が言うと、
「ね。
一緒にいる時間だけが早く過ぎるよね。」と彼が言った。
似た想いなのだ、と思う。
それは嬉しいことのはずなのに
悲しくなった。
帰宅した彼からいつのようにLineが届く。
今週末もいっぱい癒してくれてありがとう。
夜遅かったのに、寝ないで待っててくれてありがとう。
明日からまた頑張れる。
癒されていたのは私のほうだ、と思う。
連日夜勤の上、研修もあったのに
寝ずにこっちへ来てくれて嬉しかった。
ありがとうはいつも、私のセリフ。
優しい関係。
優しさ同士が伝播する感覚。

昨日行った、イタリア🇮🇹の古着屋にて。

サロンのー自宅のー駐車場に
10年前に亡くなった母が
生前大事に育てていた薔薇が、今年も咲き始めている。
父がそっと、守ってきたのだろう。
彼と二人
「急に咲いたね〜」と、その薔薇たちを愛でた。
去年も同じ頃、写真に撮ったなーと思い返す。

これは昨年の6月のブログにupしていた去年の薔薇。
当時は一人だったな、と思う。
彼を知らずに暮らしていた。
数年前にお別れした人に誘われてライブへ行ったり。
など。
不甲斐の無い日々だったな、とも思い返す。
今、彼を知った私はもう。
彼を知らなかった頃の私には戻れない。
ということ。
それと。
来年の今ごろもまた二人で
「今年も咲いたね〜」と、新しい薔薇たちを愛でられるようにと。
そんな想いになり
私はまたすこし、苦しくなった。
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