▪︎短い逢瀬

ゆっくりできた?と訊くと

腰を引き寄せ

幸せな日曜だ、と言った。

いつもの低い声。

私の子宮に、それは刺さるように響く。

それは私も。と答えて、

二人はまた静かに寄り添って過ごした。

リビングのー最近少し肌寒くなってきたのでー敷いたばかりの

ラビットラグに寝転がり。

テレビも付けず。

何も話さず。

寄り添ってただ、互いの体温を感じた

日曜の静かな昼下がり。

土曜の夜、22時に帰ってきた。

先月24日の朝ここから国家試験に出向き、

終えてそのまま、海沿いの出張先まで車で4時間。

それ以来、昨日まで16連勤し、

4時間の高速道をひた走り。

私のところに帰ってきた。

玄関を開け、

マンションのガラス扉を開けて入ってきた彼に

いつももように「おかえりー」と言った。

大きなキャリーを引いて、少し疲れた顔の彼が

「ただいまー」と言う。

玄関を閉め。

彼の首に腕を回し、

会いたかったよ〜と言ったけれども

彼はそれには答えず

たくさんのキスをくれた。

それは止まることがなくて、

私は16日ぶりの

大好きな体臭と、タバコの香りに包まれて

幸せだった。

クリームシチューが大好きな彼。

それとお魚のカルパッチョと

ベーコンやコーンを入れたオニオンサラダ。

焼き茄子。

そして昨夜は白ワインにしました。

私は胸がいっぱい過ぎて、ほとんど食べられなかったので

ワインばかり飲んでは

うまっ!うまっ!と、どんどん平らげてゆく彼に

見惚れてばかりいた。

出会ったばかりの頃は

「見過ぎ〜〜」と言っては、照れ笑いだったけれども

私が毎度変わらず、まるで目を逸らさずに

いつもいつでも彼に見惚れているので

いい加減慣れたのだろう。

自分を見つめる私と目が合っても

にっこりと笑って動じなくなった。

日曜の16時に、彼は出かけて行った。

冬の服を取りに自宅へ寄ったり

足りないものを買い足しに、ホームセンターへも行くと言っていたので

出張先についたと連絡があったのは22時半。

ほんの、半日と少しの時間だったけれど。

時間てー長さでは無くー

甘さと深さなのだ、と思う。

また日曜も、仕事になるかも?と言っていた。

休みが取れそうならば

次は私が片道4時間かけて

恋路を走ろうと思っている。

国家試験は無事にパスしたので

きっと、さらに新たな仕事が増え、

彼はまた飛躍していくのだろう。

合格の連絡が来たとき、

「まだまだ成長中だよ」と言うので

「進化・成長していくあなたを、ずっとそばで見ていられたらいい」と伝えた。

ずっと、私は君のそばにいられるかしら。

二人がいつも、同じ方向へ進んでいるのならそれでいい。

次に会う頃はまた、季節が進んでいるだろう。

私はここで。

彼は海の街で。

離れてまた少しがんばろう。

秋も深まり。

きっと私たちも深まっていく。

しあわせで。

だから。

少し切なくもあった、短い逢瀬だった。

恋の苦しみは待ったなし。

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