▪︎冬の旅−下田の海へ−
2日の夜、雪まじりの夜、
kは結局、ここへ来た。
21時に着くというので
急いで買い物に出て
つまみでいいと言う彼のために
少しばかりの手料理を用意した。
そして3日の朝、一路下田へー


道が混んでいたせいもあり
片道4時間半のロングドライブ。
途中、ソフトクリームを食べたり
海に歓声を上げたりしながら。
ホテルについて
客室の天然温泉に湯を溜めながら
ビールで乾杯した。

kと私
二人しかない空間と時間。
それはいつもそうなんだけれども。
この日は本当に特別な
二人だけの空間と時間。
彼のにおい
彼の声
笑顔・熱い手のひら
甘い唇や・舌・吐息・喘ぎ。
何もかもを私は独り占めし
そして彼も
私の何もかもを手中に収めた。
この想いに、なんという名をつける?
この時間を、なんと呼んだらいいのだろう。
私たちのやさしいやさしい関係とかたちを。
二人はずっと笑っていて
始終、そばにくっついて過ごした。
客室にいても。
客室に設られた、源泉湯の中でも。
ロビーにいても。
ホテル内の通路を歩くときも。
ビュッフェでも。
ベッドの中でも。
肌と肌を合わせ、唇を重ね、指を絡め合って過ごした。
他に何が要る?
二人以外に?

帰りは山側を走り
眼前に広がる美しい富士を眺めた。
車内にいても二人の話は尽きることが無かった。
自宅近くのスーパーでいつも通り
kがカゴを押し、
肉や野菜を買って帰宅。
夜は家で辛い鍋を囲んだ。
昨日の夜k、は自宅へ戻り
今朝1時半に起床して出張先へ向かった。
離れ難い二人。
彼の広い肩、引き締まった腕や胸、
笑うと下がってしまう目尻や
健やかな寝息。
美しい横顔。
子宮に刺さる低い声。
忘れられない何もかもを思い出しながら
私は夜毎祈り続けるだろう。
このまま。
二人を分かつものが無いように、と。
このまま。
二人が共に在り続けられるように、と。
幸せな恋に慣れていない。
これまでの過去の恋の経験が、
私を不安にさせ、臆病にする。
怖いくらい幸せなんてあるのか、と。
kは笑うけれども。
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