▪︎籠る

土曜、

「今日はこれから予約入ってる?」

と、送られてくるLine。

19時前に。

先週の土曜も

「予約入ってるかな?」と。

笑ってしまう。

「これから行くよ」と言ったらいいのに、と。

「もう閉店!いつでも来て」と送り返す。

「20時過ぎに着くよ」と返信があり

20:10に、いつものように

ハザードランプがキッチンの窓を照らし、

それ以上に

私の心の奥を照らした。隅々まで。

Lineを受け取ってすぐに、車で買い物に出た。

想いは逸り、胸はいっぱいになる。

この甘い、そして少しの痛みを伴った恋の感触を

私はいつも彼から授かっている。

これは、k以外の誰にも渡せない

彼だけが私に寄越す恋の快楽。

私はそれを受け取り、咀嚼し、深く味わい、

そして飲み込む。

身体と、心の奥底に、刻むように。

彼を想うごとに、私はそれを繰り返しているので

私の中はもうkで埋め尽くされてしまう。

どうして。こんなに幸せなのに。

こんなに切ないのだろう。と、

いつもと変わらぬ少年みたいな笑顔で

車を降りてくる彼に視界を塞がれながら

私は心底に思う。

彼が私の目の前に立つ。

お帰り〜と彼の首に腕を回し

背伸びしてキスをする。

まるで儀式のようにそのキスは私に施され、

私をそれを受けて、溶けそうになる。

いつものように。

2週前の週末、下田のホテルをチェックアウトする際、

くじ引きでkが当てた地酒を開けて乾杯。

合わせたグラスが奏でる、ささやかな音色の中にさえ

私たちの心は宿っていたし、

そっと視線を交わすときの秘めやかな

言葉にしない言葉たちは

暖かな部屋の中を舞っているように感じた。

テーブルの下で、彼の指が私の爪先を捉える。

私は抗えない。

それが食事の間であっても。

そしてその指は爪先に留まらず、

そしていずれ気づくとそれは指ではなく

唇に変わっている。

「もっと強く吸って」と言った。

その言葉に、kも抗わない。もちろん。

今日は、貸切温泉でも行こうか、とkが言ったけれども、

結局2人はそれを止めて家で過ごした。

何も要らない、君がいたらそれがもう。

わたしのすべて。

7品目のサラダ・鶏肉のトマト煮・鯖焼き・椎茸のホイル蒸し・ナメコと豆腐とワカメの味噌汁。

週末は、たくさんの栄養を、みんなまとめて摂ってほしくて。

君の「うまっ!」「うまっ!」が聞きたくて。

来週末は、予定があって会えない私たち。

2週会えなかったことが今まで一度も無かったので

少し落ちつけるかしら

それとも募るかしら、と考えたりするけれど。

答えはひとつでしょ?

落ち着ける理由が何も無いもの。

毎週末会っていても、募って止まない想いだ。

とはいえ。

わたしはいつも、誰の目からも

落ち着いて見えていることだろう。

マインドコントロールはできる。

それに。

落ち着きの無い私を

私はkにしか晒さない。

私のすべてを

ー愛も、無様も、落ち着きの無さも何もかもをー

知る人は彼だけでいい。

彼だけがいい。

#恋愛小説#大人の恋#最後の最愛#ずっと二人#恋しさと切なさ両方募る