▪︎灯す

kは二泊して、今朝5時に仕事に出かけた。

私の元から。

金曜は鍋いっぱいのシチューを作った。

鯛のカルパッチョ、アスパラのベーコン巻き、たたきキューリ。

何を作って出しても

美味い、美味いとみんな平らげていく

彼の旺盛な食欲に見惚れてしまう。

ワインは先日、長野へ旅行した時に

友人にもらった小布施ワイナリーの赤。

二人で掲げ、合わせるワイングラスの音。

あの、小さな音の中にさえ

二人の蜜が宿っているように感じた。

昨日は

熱く肌を合わせた前夜の余韻を

身体の隅々に残したまま

午前中から出かけた。

買い物したりドライブしたりしながら

1時間半かけて、目的地の貸切温泉施設へー

二人で浸かる温い湯の中。

kからもらう、たくさんのキスと抱擁。

夢ではない。と分かっていても

私は終始、夢の中に在った。

「今夜は鍋にしようか」とkが言い

あ、今夜もこの人は、私のところに居るのだと

安堵した。

到底訊けない。

今夜も一緒にいられるの?などとは。

彼の手中に収められている、

私たちの恋路だ、と思う。

それをまた至福とも思う。

なぜなら彼のchoiceは決して、私の想いを裏切らない。

二つの夜、kと過ごし、

遠出して温泉に浸かり、

家でシチューや鍋を囲む充実。

心は溶け出し、

ベッドの中では、身体が蕩けて形を失う。

舞い込んだ恋。

暗い朝、kの車を見送ってから

天を仰いだ。

神さま、

彼をありがとう、と。

彼のすべてを。何もかもを。

受け止め、受け容れる、覚悟はできている。

愛を知ると、人は強くなる。

愛する者。

そのキラリと光る、kと言う名の

心の中に宿った明かりを

灯し続ける。

絶え間なく、絶えることなく。

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