▪︎kの寝息が聞こえる

思いがけず17時前に帰ってきたk。

彼の車がガレージに停まる。

ハザードランプの点滅が

キッチンの窓を明るく照らす。

小走りで玄関を抜け

彼の車の助手席の窓をトントン、と叩くと

運転席からkがにっこりと笑った。

私の一番好きな

とびっきり優しい笑顔で。

2週間ぶりの笑顔。

部屋に入ってすぐに

キッチンで抱き合って

数え切れないくらいのキスを交わした。

そこには言葉もなくて

でも言葉などは要らなくて

何も伝えなくても、みんな。

お互いの想いはみんな

伝わりあっていた。

唇を通し。

抱きしめ合う身体の熱を通し。

彼が私の腰を強く引き寄せる熱い腕。

彼の背中に回した私の腕。

愛しさは到底、言葉などにはならない。

それを超えて、

魂やハートで感じるものなのだと。

彼からキスをもらうときいつも

私はそれをkから教わる。

赤ワインで、2時間煮込んだビーフシチュー

お魚のカルパッチョ

ミニトマトのベーコン巻き

ピリ辛もやし

2017年の赤🍷

ささやかな

二人だけの。

でも、とびっきり幸福な。

2日遅れのChristmas。

今kは

リビングで眠っているの。

規則正しい彼の

健やかな寝息が私を包んでいる。

こんなにも美しく幸福で満ちた時間が

この私に

用意されていたなんて、と思う。

どうか

彼だけは奪わずに。

ずっとずっと私の隣にこの人を。

漆黒の冬の空。

目には見えぬ、

恋の神様や、

帰ってしまったサンタクロースに

私は心底に祈っている。

恋が刹那的なことは知っている。

悲しいけれども

痛いくらいに。

それでも。

私は祈り続ける。

始まれば終わるとわかっていても。

彼の、

寝息を聞きながら

彼の、

洗い上がった洗濯物を畳みながら。

彼の、

ワイングラスを洗いながら。

こんなにも幸せな時間に在りながら。

私はなぜだろう。

私はなせだか少し

泣きたい気持ち。

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