▪︎悠久があるのなら、と。
金曜から思いがけず訊ねてくれたk。
昨日はここから仕事に行き
20:00に帰宅。
夫婦みたいだ、と思う。
彼が風呂に入っている間に
魚を焼き、青椒肉絲を作り
サラダやモヤシナムル、味噌汁など支度をし、
テーブルに並べ
ビールとビアグラスを冷凍庫へ。
ありふれた、ささやかな食卓。
けれどそれが、一番贅沢で幸福に満ち、かけがえが無いことを。
言葉にはしないが
私たちはとてもよく分かっている。

働き尽くめのk。
今日は朝から講習で缶詰め。
昨日も4時に起きて仕事へ出かけた。
今週も日曜まで仕事が入っている。
その合間の時間を縫って
ここへ来てくれることは、やはり。
私にとっては奇跡のように感じる。
目の前に彼がいて「美味っ!!美味っ!!」とおかずを頬張るのを見ていると。
悠久があるのならーなどと。
心底に思ってしまう。心から。真剣に。
そんなものはどこにも無いと
解っていても。
解っているのに。
性懲りも無く私はー
寝る前に、
残った炊き込みご飯をお握りにしていると
キッチンへ来て「美味そ!!」と笑い
私の腰を抱いてキスをくれた。
甘い時間
激しくもあり、少し切なささえ感じてしまうkとの営みには
際限が無い。
どこまでがkで、どこからが私なのか分からなくなるくらいに
二人は交わりを交わし
そして深い睡魔に引き込まれ
朝まで眠った。
どの時間を切り取ってもそれは
夢のように不確かであるのに、
けれどこの胸に残った小さなマークは
kが触れた確かな証。
いつも私は彼と在る時
夢と現実の狭間に揺蕩い、
その時間に翻弄されながらこの、
二度と戻らない大切な時間を慈しみ、
そこに埋もれて我を忘れる。
5時半にkを見送った。
未明の寒い朝、
ありがとう、と彼が言い
私こそよ、と私が言い、
またね、と二人で言い合い、
車の窓を開けてキスをし、
ハザードランプを点滅しながら車は遠ざかり
闇に吸い込まれて消えた。
静寂と寒気が急に押し寄せ、
まるでこの二日間のことのすべては
本当に夢だったのではと思うくらいの静けさの中に、
私はポツンと取り残されている。
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