▪︎夢現ーゆめうつつー
眠るkを見ていた。
その、美しい
鼻から唇へ続く柔らかなラインや
伏し目にした瞼を覆う、無数のまつげの影たちや。
手入れのされた
彼の唇を彩る髭や
形の良い唇。
彼の寝顔の稜線を
飽きることなく、ずっと眺めていた。
そして、その
kの寝息や、眠る様は、私を心底に安堵させた。
視線を感じたのだろうか、
彼はふと目覚め、
彼を見つめている私を
そっと見つめ返す。
薄暗がりのベッドの中で
彼の瞳が底光る。
彼は、私の視線を捉えてにっこりと笑う。
そして思いがけない強さで
私の腰を抱き
額に唇を付け、
チュッ、と音を立てる。
ー私は彼のキッスの、チュッ、という音がとても大好きー
その数秒後にはもう
先ほどと同じ深い寝息を立てている。
夢なのか
現実なのか
その狭間は分からなくなり
けれどそのすぐ後に私は
そんなことは
どうでもいいことなのだ、と気づく。
下腹部に静かに宿る
鈍い、痛みにも似た
ことの後の甘い余韻と、
太腿の内側に疼く、kの噛み跡。
白い胸のそこかしこに煌めく、kの唇の跡。
ベッドの中に残る
淫美な香り。
汗ばんだふたつの身体。
それらは全て
夢の後のうつつ。
その狭間はもうどこにも無くて、
私たちは夢と現の間を行ったり来たりしながら、
深い海の底のような眠りの中に
二人で堕ちてゆき、
抱き合ったままで、朝まで眠った。
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