▪︎our long night in a short time(2)

リビングのテーブルを挟んで

向かい合って座った。

kが寒がるので、床暖房を入れ、

熱い珈琲を落とす。

二人共々に、3、4杯のアルコールを飲んでいたはずなんだけれど、

その酔いとは違う

もっと甘美な、

そして少しだけエロティックな。

二人だけが、ごくささやかに感じることのできる

秘めやかな空気は流れ始め、

私たちはそれを纏った。

話をした。

口づけも交わさず。

もっと知りたいのと、

もっと知って欲しいのと、

二人ともがそう思いながら話すので

私たちの会話には淀みが無かった。

話しても話しても、

「あ、そう言えばさ」

「そう、それとね」

見つめ合いながら話す。

視線が逸らせない。

kの黒光りする瞳の奥に

私が映っている。

こんなにも愛おしい時間は、いつ以来?

初めてかも、などと心底に思ったりししてしまう。

だから、恋の初めは素敵だ。

深夜3時を過ぎていた。

6時には出なくては、と言っていたYu。

「少し休んで、ベッドで。

電気毛布入れておいたからもう、あったかいはずよ」

着ていたシャツを脱ぎ、ベッドに入ったkの背中に、

私は、胸と腹をつけた。

ピッタリと、どこにも隙間のないように。

その体温、その匂い、その広い背中、その揺らぐ吐息、、

すべては私の目の前に、

私だけのために在った。

振り向いてkが言う。

「眠れないよ」

掠れた声で。

唇が

触れ合ったら

止め処が無かった。

止める必要も、理由も無かったのだけれども。

our long night in a short time.

#恋愛小説#大人の恋#最後の恋#最後の最愛